考察と主観

頭に浮かぶあれやこれやをなんとなしに書き付ける

子育てしている人を尊敬する

 実際に育てていなくても感じる、現代日本は子育てしずらそう。

 

 先日会った友人たちは生みたてからもうすぐ卒業まで幅広い経験者揃いだけど、私はちっとも出来る気がしない。どんな子でも可愛いとか綺麗言ではすまないもので。

 赤ちゃんを見るのは好き。寝ていても、「なんだそりゃ」ってくらい動き回っていても可愛いと思えるが、良いことばかりではないので四六時中お世話を出来る気がしない。「出来る出来ないじゃなくてやるんだ」って意見が有るけど、他の事は出来る気がしなければ手を出さないで済むのに出産育児は不可避イベント扱い。職は転職等やり直せる結婚すらやり直せるけど、出産育児は後戻りできないのに、金銭問題と体力問題と子育ての理想 、選択肢も少なければサポートも薄い。

 

 共働きでも子供の有無で暮らしぶりにかなりの差が出る。私が母親になったとして就業できるようになるまでの数年間のシミュレーションはささやかな貯金を切り崩す予想。育休が使えない職場では新たに探し始めることになるが、それでも早速時短で保育園に送り迎えの必要がある人間を採用できる体力のある企業はなかなか見かけない、というかそんな企業は先に産休育休を実践しているのではなかろうか。採用されても肩身が狭い。子育ては申し訳ないはずないのに休んでばかりで済みませんと思わせてしまう。男親にやらせれば…世間的にその対応の方が理解が遅れている。職種的に現地入りが必要なので無理。妻が働かねばならぬ収入で妻が働いた途端ベビーシッターが雇えるような高給取りになれるはずもなく。産休育休の実績のある会社に入れるか入れないかで貧富の差も開く。

 

 そもそも母親が働きに出るって本当に幸せなのだろうか。よほどストレスフリーな職場で、子供から離れて気分転換できると思えるならまだしも、大概の母親役の人って家事も子育ても仕事も必要に駆られて掛け持ちしてる…少しは感覚が変わって別の方法を取れる人は増えているだろうか。子供には母親が一番に反している気がするのだが。

 母が父に「家の事を手伝って欲しい」と言ったら「皆主婦がやっている」と断られたそうだ。父は私が思う通り動かないので子育ても放棄した(本人も笑顔で認めている)。新幹線に乗らないと実家に帰れない環境で追い詰められた母が私にもブチギレる家庭像が一番身近な私が母より上手く遣り繰り出来る気がしないので、世の中の男が全部父のようであれば結婚はしないと心に決めていた。準備が甘く、きちんとした収入のある職に就けなかったので結婚する気になったが、一人で住宅ローンが組める程の職についていたら一人のままだったと思う。そして定年と共にぽっくりいきたかった。

 

 こんな私でも子を授かった時は嬉しかった。18トリソミーという検査結果を受けて堕胎した直後に子供を置き去りにして買い物をしている車を見れば腹が立った。しかし、視点を変えると時間に追われた母親が一人であれば少しの時間で済む買い物に子連れで大幅にペースダウンするのが惜しい気持ちも想像できた。数年してスーパーで別の車に置き去りの子がいた。あのときの運転手は待ってみてもなかなか帰ってこなかったが、今度は戻ってきた場面が伺えた。場面が違えば猫撫で声と称される優しい声で一番に子供に声を掛けている。それでも、時間に追われていれば買い物の時間短縮に置いていきたいということか。

 

  睡眠が足りなくなった生き物の多くは狂暴化する。愛情が有っても、自分の命を守るために物理的にはいないはずの外敵に向かって殺気立つのだろうと思う。覚悟が足りずに出産し遊び惚けているような輩を度外視して―虐待の背景を思いやると心が痛む。子供を守る延長線上で母親も守ってほしい。ほったらかしの子供も気の毒だが母親は頑張ってる。それでも子供には大人の事情は関係がない。分かった風な口をきく頃にもなると更に苛々しそう…お母さんごめんなさい。でも、可愛いからこそ苛々して八つ当たりしようものなら自己嫌悪、自分も敵にしてしまいそう。

 

 そんな過酷さばかりが見えてしまうので、乗り越えるには心から「子供が可愛い」と思えないと日々何を励みに頑張れるのかわからない。「自分の子は可愛いよ」と助言を貰った事もあるけれど、なってないので分からない。多方の過酷さに対し、子供が可愛いの一点突破で20年前後を想像したら忍耐の文字が浮かんできた。それとも、とんでもないハイな状態がやってくるのだろうか。

 

「誰かに頼れないのか」と言う時、言葉にこそなっていないが「自分でない誰か」になってはいないだろうか。他人の誰かに頼ろうとするとき、有料になる事が多い。それでさえ恐ろしい事が起こったりする。預ける方も怖いかもしれない。かと言って子連れの買い物をサポートするために子供の予定がない我が家でチャイルドシートを用意するほどでもない。

 

 妊婦さんも気になる。安定期まで周囲には明かさない(というか、気を使わせない)のがマナーのようになっているけど、安定期の前は不安定期って事ではないかと思うと、安定期に入る前を隠して頑張らないで済むようになってほしい。「妊婦様」ではない。ホルモンバランスの変化で体調が悪かったり、お腹の子を守るために自然の摂理として神経質になっているのだ。種の次世代を引き継ぐ子を抱えているのだから大切にしたい。

 

 子供を持つことのない私達には何が助けになるかわからないが、お互い様だと思って頼ってもらっても良いのではと思う。いや、子供が苦手な時点で預かる事もままならない私では力不足だが。